お子様の場合、自ら進んで歯医者に行きたがる子は少ないと思います。そのため、親御さんの協力は必要不可欠です。小児歯科で大事なことは歯医者嫌いにさせないことだと考えます。
『怖いことされるんちゃうかな?』とか、『痛いことされるんちゃうかな?』と不安で頭がいっぱいになります。ましてや過去に歯医者さんで押さえつけて治療をしてしまうとトラウマになり、歯医者さん嫌いが大人になっても苦手意識が抜けず、20~30代で歯がボロボロになり勇気を出して歯医者さん来られた方もたくさんおられます。
まずは慣れていただくことが大切です。
1歳から3歳くらい
この頃は、「何のために歯医者さんに連れてこられているのか?」を理解することが難しいです。歯ブラシの感覚や歯をピカピカにするのが楽しんでくれることを目標にします。甘いもの、おやつ、ジュース、生活習慣に対しての見直しやお母さんお父さんの仕上げ磨きの練習、フロスの使用をお伝えしたりします。むし歯のよくできる部分は歯の間にできやすく、上から覗いても見つけることが難しいです。
- 習慣
- ジュースや甘いものが口の中に入っている時間に比例してむし歯のリスクが上がります。時間を決めてあげることで、リスクを減らすことができます。3時のおやつなら3時にだけ渡すなど、計画的にあげてください。
- 口移し
- 生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は無菌状態で、むし歯菌はいないと言われています。お母さんお父さんからの口移しはむし歯菌を一緒に上げてしまうことにもなり、お子様のむし歯リスクを高めてしまうことが言われています。お父さんお母さんが注意していても、おばあちゃんおじいちゃんが知らずに口移しされてることも多いですので、ご家族みなさんでお子様の健康を見守っていかないといけません。むし歯菌に感染しやすい時期は、生後1歳7ヶ月~2歳7ヶ月の間です。お子様と同じ箸やスプーンを共有しない、噛み与えをしない等のお口のスキンシップを控えることで、成長した時のむし歯の本数を少なくすることができます。
- フッ素
- フッ素はむし歯予防に効果的です。私自身も両親に小さい頃からフッ素を使ってもらっておりました。そのため、現在ではむし歯は少ないと思います。効果は身をもって体感しております。歯の表面が溶けにくい強い歯にしてくれます。「やればやるほどいいのか?」というと、お薬なのでやりすぎは良くありません。否定的な意見もありますが、濃度や用法を守っていれば健康被害のリスク等も少ないでしょう。高濃度で使用してしまうとフッ素中毒といって歯や骨に影響が出るとされています。
3~6歳くらいまで
治療が費用な子が本格的にできだすのは3~4歳からだと考えています。6~7歳くらいから始まる歯の交換期に向けて乳歯でむし歯が少ない状態を作ってあげることで、大人の歯が生えてくるときのむし歯リスクをぐんと下げることができる大切な時期と言えます。ある程度何のために歯医者さんにきているのか理解できているからです。保育園や幼稚園に行き出して、お母さんから離れていても大人とコミュニケーションが取れる社会性がある子は早めから治療に取り組むことができます。
TSD法(Tell show Do)という方法を行います。実際使う器具を見せたり、触ってもらって怖くないものなんだよ、と一緒に治療に向けて練習します。恐怖心の強い子は次に何をされるか不安なので、きょろきょろしてこちらの様子を伺っている子が多いです。事前にやること、順番、道具を説明してあげることで不安を取り除いてあげることができ、安心してこちらのことも信用してくれるようになります。
お子様が泣いてしまう原因はいくつかあります。
- ① 何されるかわからない不安、怖い場合
- ② 以前に怖いことされたトラウマがある場合
- ③ 治療中麻酔の効きが悪く、実際に痛みがでてくる場合
- ④ 泣くとお母さんがなんとかしてくれるという甘えが出る場合
①②に関してはTSD法や練習していくことで慣れていくことができます。③に関しては実際乳歯の神経は太く大人よりも麻酔が効きにくいことが多いです。お子様の反応を見ながら効いていない場合は麻酔を足して痛みがないように努めます。麻酔の量が多くなる傾向にありますので、唇や頬を噛んだりする子もいますんで気をつけて見てあげてください。